私が思う「理想の出演者」とは

番組によって場所が変わる。環境が変わる。

人が変わる。

だから「ラジオ番組」とはいえ、全部違う。

目的は同じなのに、全部違うのだ。不思議な職業。

中でも数年前に引き継いだラジオ日本のビートルズ10は特殊だ。

すでに長い時間築き上げた人間関係の中に、私は入った。

はじめは緊張で大変苦労した。

でもすぐに打ち解けた。迎え入れてくれるのがとにかく早かったんだ。

収録には(事情により)長時間要するため、自主的にケータリングを

充実させてる。

お気に入りのお茶とお菓子2種類、今日はきんかんたまたまを持参した。

私が収録の準備をしている間、ADのオードーちゃんは場を和ませてくれている。

とっても重要な役割。おかげで私は準備に集中できる。

今日はふとブース内を見たらDJのカンケさんが熱く話していた。

多分先週に引き続き、変拍子の話だと思う。

内容は私にとってどうでもいい。大事なのはこの「雰囲気」なんだ。

本番までに、いかに喋りやすく、気兼ねなく、リラックスして喋ってくれるか。

そこに徹すればほぼ8割仕事が終わったと言っていい。

出演者の「素」から出た何気ない一言って、意外と残るもの。

それが出るか出ないかで大違い。もっと言えば、それが多い人が

いい出演者なんだと思ってる。

リスナーによっては20年は心のどこかに大事にしまっている人もいるだろう。

私も実際そうだ。ナンチャンがオールナイトニッポンで言った一言、

まだはっきり覚えているもの。本人は忘れてると思うけどね。

名言だった。

「作り」じゃない。「素」なんだ。「素」の時に出るその人の言葉ほど

心に残るものはない。それをたくさん、届けたいんだ。

多分それが私の仕事だと思う。


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